開発をはじめたきっかけは?
初めて自発的に開発をしたのが大学1年生頃で、Raspberry Piを使ってスマートリモコンを作っていました。開発したものを使うことで日常生活の利便性が向上するという、授業で学ぶようなアルゴリズム中心のコーディングでは得られなかった経験がモチベーションとなり、本格的に技術に触れるようになりました。
学生時代に熱中していたことは?
学生時代は、技術的に興味が湧いたものを触り続けることに没頭していました。ファイルサーバや仮想基盤を構築したり、マイコンを触ってみたりと、気になったものを一通り手元で動かすという実践を繰り返していました。特に熱中したのは、学内ロボットコンテストです。基盤制作、機体のモデリング、機械学習ベースの制御エンジン開発など、機体の全てをチームメンバーと作り上げました。みんなとこだわって開発したため、開発に必要な技術と当時の技量に大きなギャップがありかなり苦労しましたが、その経験は今でも時々思い出しては勇気づけられる良い思い出となっています。
サイバーエージェントに入社を決めた理由は?
技術的にもプロダクト的にも、多くのユーザに利用されるサービスに携わりたいと考えていました。サービスを通してユーザの生活を便利にし、楽しさを提供できる開発に関わりたいという思いから、BtoCサービスを自社開発しているWeb企業を志望していました。その中でサイバーエージェントは、大規模なトラフィックを持つ既存サービスの運用と、新規サービスの立ち上げを両立している点が魅力的でした。エンジニアとして、技術力とプロダクトの両方を追求できる環境があること、そして幅広い経験を積める環境だと感じたことが、入社の決め手となりました。

数ある事業部の中から、SGEに決めた理由は?
技術的な興味を持っていた領域で求めている挑戦ができそうだと感じたからです。ゲーム事業特有のイベントなどによる瞬間的な高負荷や予測不能なトラフィックを前提とした設計・運用に携われる点に強く惹かれました。また、SREのような専門ポジションを設けず、バックエンドエンジニアがアプリとインフラの両方を担う体制があるプロジェクトがあることも魅力でした。技術と運用、両方の視点からサービスに広く携われる、挑戦しがいのある環境だと思い決めました。
入社後のギャップはありましたか?
内定者の頃から事業部や子会社ごとに文化が異なると聞いていましたが、その多様性が想像以上でした。SGEでは、ゲームが好きな人が多く、業務時間外に一緒にゲームを楽しむなどの交流が盛んです。また、技術に対する考え方にも違いがあり、特定の技術に統一して効率化を図る会社もあれば、あえて選択肢を広く持ち、各プロジェクトごとに柔軟に技術を選定する会社もあります。
今の仕事内容とやりがいは?
主に新機能の設計レビューやシステムのチューニングを、アプリケーションとインフラの両面から行っています。また、プロジェクト共通のビルド基盤の開発や技術検証など、担当プロジェクト外の開発にも参画しています。最もやりがいを感じるのは、周年イベントのような大規模な負荷がかかるタイミングで、安定してサービスを運用できた時です。特に、YouTube配信でカウントダウンの終了と同時にメンテナンスを明けるようなケースでは、ユーザデータを取得するAPIが一斉に呼び出され、非常に高い負荷が発生します。このような状況では、APIサーバのオートスケールが間に合わなかったり、RDSのようなダウンタイムなしでスケールできない箇所に負荷が集中し、サービスダウンにつながるリスクがあります。これを防ぐため、事前に負荷を見積もり、負荷対策やインフラ増強を行い、ピーク時に耐える準備を行います。時には開発と並行して対応を進めることもあり大変ですが、無事に安定稼働し、SNSなどでユーザの皆様が楽しんでいる様子を見ると大きな達成感があります。

今までで一番印象に残っているプロジェクトや出来事は?
ユーザデータを保存しているRDSのメジャーエンジンアップデートが最も印象に残っています。アップデートに関わる全ての工程を担当し、事前検証からオペレーション、リリース後のモニタリングまでを一貫してリードしました。ユーザデータを扱うため、アップデートによる影響がないかを慎重に検証する必要がありました。特に、APIアーキテクチャがエンジンアップデートによって廃止される機能に強く依存しており、そのまま移行するとパフォーマンス低下が予想されました。そこで、APIロジックのリファクタリング、テーブルスキーマの最適化を行い、ボトルネックを根本から見直しました。結果的に、RDSのスペックを下げても安定稼働できるほど負荷を削減することができ、運用負債まで解消することができました。この経験を通じて、アプリケーションからインフラまでを一気通貫で捉え、システム全体を俯瞰した設計判断の重要性を学び、後の機能設計レビューやパフォーマンス改善提案などでも大きく役立つ経験となりました。
SGEで身につくスキルは?
SGEでは、アーキテクチャや技術選定における判断スキルが身につくと感じています。複数のグループ会社が存在し、それぞれが複数タイトルの開発経験を持つため、事例や知見が非常に豊富です。会社間の風通しも良く、定期的に技術共有会が開催されるなど、さまざまなアプローチをインプットできる環境があります。一方で、そうした多くの事例に触れることで先入観が生まれたり、他社の判断を無意識に基準にしてしまうことで、かえって判断の難易度が上がるという側面もあります。そのため、単に流行や他社の事例に流されるのではなく、自分の意見を持ち、プロジェクトの文化や課題に即した技術判断を行うことが重要だと考えています。共有を受けるたびに、自分のプロジェクトに適しているかを考えることが、判断力を磨く良い練習になっています。
今後の目標は?
今後も業務改善と最適化に注力し、開発メンバーがよりゲーム体験の追求に注力できる状態を作りたいと考えています。『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』(以下『プロセカ』)は、5周年を迎えましたが、初期の設計や泥臭い運用が残る部分もあります。ユーザデータの増加や新機能の追加、技術の進化に伴う課題に対し、最適化やシステムの見直しを進め、課題を改善しながら、『プロセカ』の長期安定運用を支えていきたいです。さらに、今後の開発タイトルでより多様な表現や面白さを追求できるような柔軟な基盤づくりを進めていきたいです。
業務割合

キャリアポジション
